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「まきの聖修の、出せ静岡の底力」
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「共謀罪」法制化の目的と本質
─── 移民立国と政治支配を画策する国家官僚 ───
[2017.6.12]
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PHOTO(C) SHUGIIN |
間もなく成立する「共謀罪」 |
「移民立国」を目指すグローバリズム官僚
今期通常国会において、テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法の改正案が、間もなく成立する。
これは、かねてより懸案であった「共謀罪」の法制化であるが、その本質は、野党が主張しているような「戦前への回帰」でもなければ「改憲への布石」でもない。
そもそもテロ等準備罪(以下、「共謀罪」と表記)は、政権側の意向ではなく、12年も前からずっと官僚側からの要請であった。これまでに3度廃案になったけれども、その度に様々に名前を変えて提案されてきた。
「共謀罪」法制化の目的は、大きく2つある。
まず第一は、日本を「移民立国」にすることにある。
少子化と人口減の進行は、小手先の政策で止められるものではない。
専門家の予測では、50年後には労働人口が現在の半分になるという。
当然、税収入も半減することになり、国家の運営は困難となるだろう。
しかしながら、日本を「移民立国」へと方針転換し、大量の移民を外国から受け入れるならば、人口減や税収減の問題は解決する。
現行法では、単純労働者の移民受け入れは制限されているが、いずれこれらを解禁し、数百万人単位で外国人労働者を国内に流入させれば、大幅な税収増が見込めることになる。
官僚制の権力の源泉は予算調達力にある為、税収を増やす仕事こそが官僚にとっての最優先事項なのである。
そして、今日の日本においてグローバル化を推進している最大勢力が、国家官僚制なのである。
官僚が目指すグローバル化の究極の目的は、大規模な移民の受け入れにある。
当然のことながら、外国から移民が大量に押し寄せた場合には、治安の維持と監視の強化が絶対的に必要になる。
「共謀罪」法制化の第一の目的は、大量移民受け入れの為の治安対策なのである。
EU諸国などは、グローバル化によって多くの移民を受け入れたけれども、治安悪化やテロ等によって社会は混乱を極め、今やEUの存続すら危ぶまれている。
米国も同様に、深刻な不法移民問題を抱えていた為、その反動としてトランプ氏のような自国第一主義者が大統領に選出されたのだった。
それでも日本の国家官僚が移民の受け入れを推進しようとする理由は、あくまで税収を増やして官僚の利権を守りたい為である。
このように「共謀罪」については、「グローバル化から移民立国へ」という流れで理解する必要がある。
足掛け13年に及ぶ国家官僚の努力がようやく実現したのが「共謀罪」であるから、もともと安倍政権とは無関係であり、まして「戦前への回帰」や「改憲への布石」などといったことはあり得ない。
「共謀罪」はあくまで官僚側の御都合主義によって立法化されたものであるから、金田法務大臣が国会の質疑でまともに答弁できないのも止むを得ないだろう。
政治家の完全ロボット化を目論む官僚
国家官僚が「共謀罪」の法制化を目指してきた第二の目的は、政治家の個人情報を国家官僚が自由に入手可能とし、政治家を完全に官僚のコントロール下に置くことにある。
ちなみに米国連邦捜査局(FBI)は、大統領や閣僚などの個人情報や行動記録を過去数十年にわたり全て把握することによって政治家を恣意的にコントロールしている事は知られている。
これと同じ事が「共謀罪」の法制化により、我が国においても可能となるのである。
現在、国家官僚制と国政政治家との対立抗争は佳境に入っている。
官僚と政治家との間に確執が生じる理由は、目指すものが根本的に異なるからである。
官僚が利権構造の確保・拡大を目標としているのに対して、政治家は民意を背景として利権構造そのものの変更を目標にしている。
ここで簡単に戦後政治の歴史を振り返ってみよう。
戦後日本は、「55年体制」と呼ばれる自民党支配による政治制度が約半世紀ほど続き、官僚制の利権システムはこの間に増殖してきた。
1955年から数十年間の自民党政権は、名目の上では「自由主義」の「保守政権」ということになっているが、実質上は「社会民主主義」の政権として分類される。
これは、戦後のGHQによる対日占領政策が、ニューディール派によって遂行された影響が大きく、当時ニューディール政策を国是としていた米国と同様、日本もまた「大きな政府」による「積極財政」が国家の基本政策となっていった。
その後、大きな政府による積極財政政策は、紆余曲折を経ながら約半世紀もの間、続けられてきた。
必然的に、国家官僚は莫大な予算の裁量権を持つようになり、やがて天下りシステムや特別会計をはじめとした利権構造が次々と作られてきた。
とりわけ70年代から80年代にかけての「田中支配」と呼ばれた時代は、官僚の利権構造が完成形に達した時代であったと言える。
官僚達もまた、そうした利権システムを守り拡大してゆくことこそが使命であると信じ行動していた。
一方、官僚の操り人形と化した政治家達は、いずれも官僚の言いなりになって動かされ、官僚にとって都合の悪い政治家は潰されてきた。
80年代には、英国のサッチャー主義や米国のレーガノミクスに感化された中曽根内閣が「小さな政府」を唱え、「土光臨調」に行政改革案を策定させたにも拘らず、国鉄民営化の他には何も出来なかった。
90年代には非自民の細川政権が成立したが、全く何もしなかった。
さらに21世紀に入って誕生した小泉政権は、「郵政民営化」のみを辛うじて実行しただけで、特別会計の利権構造には一切手を付けられなかった。
しかしながら、この頃から危機感を抱き始めた国家官僚は、2005年にいよいよ「共謀罪」の法制化に着手した(この時は廃案)。
その後、2009年には民主党政権が成立したのだが、結局は官僚制の完全なる傀儡政権に終始した。
そして、その反動のようにして2012年に成立した第二次安倍内閣は、政治主導をかなり強力に推し進めようとして、2014年5月には「内閣人事局」を創設し、それまで官僚が独占してきた官僚の人事権を政治家サイドが奪い取った。
ただしこの事が、国家官僚の逆鱗に触れた事は間違いない。
その意味で、今回の「共謀罪」法制化要求は、国家官僚による政権への意趣返しであったと言える。
元米国情報部員のスノーデン氏の証言では、米国家安全保障局(NSA)の情報監視システムは、地球レベルの盗聴ネットワークを構築しており、日本の捜査当局もそのノウハウの多くを伝授されているという。
「共謀罪」の法制化によって、政治家にとって都合の悪い各種情報を、官僚側は最先端技術の盗聴網を用いて任意に入手し蓄積することが可能になる。
一方、その事を自覚している政治家達は官僚のロボットとして操縦される以外に選択肢は無くなる。
かくして、「共謀罪」法制化が実現した暁には、完全に官僚側が行政権力を掌握することになってしまうのである。
国家官僚制は、いよいよ政治家をコントロール下に置きながら、グローバル化を推進し、外国から大量の移民を日本に流入させようとしている。その為の「共謀罪」法制化なのである。
安倍首相は一応保守派を標榜している人であるから、元々はグローバリゼーションには慎重な立場であり、当初はTPPへの参加にも反対していたのであったが、今や官僚の操り人形と化し、TPPにも積極的に参加した上、移民の受け入れにも前向きに取り組む姿勢を示している。
客観的に見れば、安倍首相は自説をコロコロと変えて平然としている変節漢である為、トランプ米大統領やメルケル独首相などのように明確な政治思想で分類される政治家ではない。もはや本当に改憲をやる気があるのかどうかさえ疑わしい。
私達国民の立場としては、官僚側から示される如何なる情報リークにも惑わされることなく、客観的な視座を持ち続けることこそが、政治を国民の手に取り戻す第一歩であろう。
現在マスメディアが騒いでいる森友問題や加計学園問題なども、国家官僚制と国政政治家との対立抗争過程において噴出してきた問題として理解する必要がある。
以上のように、「共謀罪」法制化の本質とは、官僚独裁国家の完成であり、民意が国政に反映される制度の終焉を意味する。
また、国民の人権が脅かされる危険性もあることから、当財団としては注意深く推移を見守っていきたい。
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《財団概要》
名称:
一般財団法人 人権財団
設立日:
2015年 9月28日
理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)
定款(PDFファイル)
《連絡先》
一般財団法人
人権財団本部
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-9-6
十全ビル 306号
TEL: 03-5501-3413
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