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「まきの聖修の、出せ静岡の底力」
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着々と進行する中国の世界征服計画
対中国包囲網の構築こそ日本の役割
[2018.9.15]
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中国アフリカ協力フォーラムで演説する習近平国家主席 |
PHOTO (C) REUTERS |
新植民地主義の「一帯一路」構想
去る9月3日から4日にかけて、北京において第7回目となる中国アフリカ協力フォーラムが開催された。
フォーラムには、アフリカ諸国全54カ国の内53カ国が参加し(台湾と唯一国交を持つエスワティニ国を除く)、中国の習近平国家主席をはじめ、アフリカ各国首脳、アフリカ連合委員長、グテーレス国連事務総長らが列席した。
習主席は、アフリカ連合への6兆6千億円の経済支援と積極的な軍事援助を約束し、「中国・アフリカ平和安全保障基金」を新たに創設することを表明した。
2014年に「一帯一路」構想が提起されて以降、中国指導部は再三にわたりアフリカ諸国に財界の代表団を派遣し、中国主導によるインフラ整備と借款供与を通じて、アフリカの植民地化を推進してきた。
近代の欧州列強による植民地体制は1960年代に崩壊したとされてきたが、半世紀を経た今日では、中国による新植民地主義が台頭しつつある。
植民地化の常套手段は、まず現地のインフラ開発の名目で大規模投資と多額の借款供与を通じて相手国に莫大な債務を負わせ、現地政府が返済不能になると、港湾や要衝地を軍の基地として永年租借し、軍隊派遣と内政干渉を行い、属国化するというものである。
中国の場合は、さらに移民まで送り込み、中国の領土扱いにしようとしている。
アフリカのザンビア国の故マイケル・サタ元大統領は、「かつての植民地時代の欧州による搾取は、現在の中国による搾取に比べればまだマシであった。旧植民地時代には、社会・経済基盤のための投資が行われていた。だが、中国の投資は地元の人々の幸福を顧みることなく、アフリカから何もかも持ち出すことばかりに力を入れている」と述べている。中国が唱える「一帯一路」の実態をよく表している。
因みに、現在の中国が邁進している新植民地主義は、旧来の欧州型の植民地主義とは異なり、現地人の雇用はほとんど無い。
巨大な工場を建設したり港湾を整備しても、そこで働いているのは中国国内から連れて来た中国人労働者達ばかりである。
現地のインフラ開発地域は、やがて大量の中国人の居住地と化し、中華民族が定住を始める事は確実である。
これは植民地というよりは、むしろ中国共産党によるチベット占領方式に近いといえる。それは事実上の「征服」と変わらない。
過去半世紀にわたり、中国共産党はチベットや新疆ウイグル、内モンゴルを占領し、中華民族の入植地としてきた。
そして中国共産党は、今やその標的を、アジア・アフリカ全体に向け始めたのである。
現在の中国が抱える膨大な失業者と中国版バブル経済で膨れ上がった莫大な余剰マネーを処理するには、世界中に余剰人員と余剰マネーをバラ撒く以外に方法は無い為、「一帯一路」の新植民地政策とは、中国のバブル崩壊を回避する為の出口戦略でもある。
かくして今や中国は、世界中を借金漬けにした上で、地球ごと接収しようとしつつある。
習近平体制が2049年までに目指す「社会主義強国」とは、アフリカ大陸や中東やアジアはもとより、太平洋の西半分までを含む地球上のほとんどの地域を中国の支配下に置く事なのである。
対中国包囲網の構築が急務
ただし、アジアやアフリカの全ての国々が、一方的に中国の言いなりになっているわけではない。
モルディブは債務の80パーセントを中国に負っているが、モハメド・ナシード元大統領は、「これは植民地支配だ」と怒りを露にしている。
また、マレーシアのマハティール首相は、「一帯一路」を「中国版の植民地主義」と断じ、中国がマレーシア国内に計画していた二大プロジェクトをキャンセルした。
中国の露骨な野望に対して、アジア・アフリカ諸国の中にも、少なからず警戒心が生じ始めている事も事実である。
中国への債務が返済不能となったパキスタンは、インド洋に面したグワダル港が中国に接収された。
またスリランカは、港湾整備用の融資返済を14億ドル帳消しにする事と引き換えに、コロンボ港とハンバントタ港の港湾権益が、今後99年間にわたり、中国側に譲渡されることになった。
ジブチもまた同様の方式で、中国が鉄道建設をし、中国海軍の軍港が開設された。
他にも、中国に返済不能な債務を抱え、従属状態にある国々は数多く存在する。
ラオスは、中国と結ぶ鉄道の事業費として67億ドルの債務を負っているが、これはGDPの約半分に相当する。
バヌアツは、港湾整備や会議場建設に1億9千万ドルの融資を受けており、対外債務の50パーセントを中国に負っている。
モンテネグロは、中国からの融資で高速道路を建設しているが、債務がGDPの8割に上っている。
エチオピアは、中国から121億ドルの融資を受け、GDPの59パーセントもの債務を抱えている。
トンガは、インフラ整備の為、中国の融資を受け、1億ドルの債務を負っている。
我が国は、中国の横暴な新植民地政策に困惑しているこれらの諸国と緊密に連携してゆく事こそ、外交方針の基本とすべきである。
しかしながら、「外見は右、中身は左」と揶揄される安倍首相は、何故か中国との経済連携に前向きで、「一帯一路」への協力を申し出るなどの外交音痴ぶりを露呈している。
中国との経済協力など「百害あって一利なし」で、何の国益にもならない事を、我が国の政治家や官僚達もそろそろ理解するべきであろう。
少なくとも、これまで中国から痛い目に遭わされてきた経済界は、とっくに理解している事なのである。
今こそ、「植民地解放」が世界における日本の役割であった歴史を思い起こすべきである。
我が国が、「対中国包囲網」の構築を外交方針として世界各国に提起し連携を呼びかければ、中国に抑圧された諸国から盟主と仰がれる立場になり得る可能性はある。
今や経済力も二流に落ち込んで「普通の国」となりつつある我が国が、今後世界に貢献し得る道は、それ以外にあり得ないであろう。
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《財団概要》
名称:
一般財団法人 人権財団
設立日:
2015年 9月28日
理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)
定款(PDFファイル)
《連絡先》
一般財団法人
人権財団本部
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-9-6
十全ビル 306号
TEL: 03-5501-3413
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