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「まきの聖修の、出せ静岡の底力」
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新疆ウイグルの事態は他人事ではない
現在進行中のジェノサイド(民族絶滅)
[2019.12.18]
ネット上に公開されたウイグル族迫害の動画
先般、中国の公文書の流出により、100万人以上のイスラム教徒のウイグル人や他の少数民族の人々が、法に則らずに拘束され、収容施設で虐待されている事実が判明した。
さらに、そうした事実を証明する動画が、今年9月にネット上で公開された(=本稿冒頭に動画引用)。
この動画では、後ろ手に手錠をかけられて布で目隠しされた人々が、いずれも頭髪を丸坊主にされた姿で並ばされ、数百人の警察官によって列車のプラットフォームから移送されていく様子が映っている。
まさに80年前にアウシュビッツ収容所に移送されるユダヤ人達の姿を彷彿とさせる映像である。
しかしながら、これは決して遠い過去の歴史ではなく、紛れもなく中国において現在進行中の出来事なのである。
動画の投稿者である War on Fear によれば、映像は中国新疆ウイグル自治区でドローン機材等を用いて撮影したもので、中国政府による人権抑圧の現状を広く伝える事が目的だという。
ネット上で公開された映像は、直後からFOXニュース、英ガーディアン、豪ニュース・コムなど世界各国の多数のメディアによって取り上げられ、撮影された動画が実際の映像であるとの専門家の分析も伝えられた。
オーストラリアのシンクタンク「戦略政策研究所」の研究員の映像分析によれば、当該動画の撮影日時は「2018年4月21日あるいは8月20日」で、場所は「新疆ウイグル自治区のコルラ市にある収容所らしき建物近くの貨物駅」との事である。
米下院で可決されたウイグル人権法案
今や中国に対し与野党連携して戦う姿勢を示している米合衆国においては、香港人権・民主主義法成立に続き、ウイグル人権法案が米連邦議会で審議され、12月3日には下院で承認された。
米政府および米議会は、中国が国連の推定で少なくとも100万人のウイグル族を拘束している事について、「人権と宗教の自由に対する重大な侵害」であると警告を発してきた。
今回米下院で可決されたウイグル人権法案は、新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の少数民族ウイグル族を弾圧する中国当局者に制裁を科す事などを求めており、中国政府にとっては先月成立した香港人権・民主主義法よりも遥かに厳しい内容になっている。
同法案には、個人の監視に使われる顔認証や音声認識の技術や製品の禁輸措置といった条項も含まれており、法案が成立した場合、中国の情報関連産業は米国からの技術調達が困難となり、大きな痛手を負う事は間違いない。
一方、中国国営メディアは5日、ウイグル人権法案に対して強硬な報復をするべきだと論じ、同法案は、米国との関係を安定化させようと努力する中国への裏切りであると断じた。
「焚書」は必ず「坑儒」をもたらす
こうした米議会における相次ぐ対中法案の審議は、米中新冷戦が本格化してきた事の表れでもあるが、それ以上に、中国国内の人権情況が、国際社会が放置し得ないレベルまで悪化している事の影響でもある。
中国当局による迫害政策は、チベットやウイグルや香港ばかりではない。
今や中国本土全域において、政府主導による「焚書」が展開されつつある。
中国教育部は今年10月、全国の学校の図書館に対し、共産党やその指導部を中傷していると思われる本や「社会の秩序」に悪影響を及ぼしている本を処分するように、との通達を出した。
紀元前3世紀には、秦の始皇帝が「焚書坑儒」を行い、大量の書物が燃やされ、多くの儒学者達が生き埋めにされた。
「焚書」は必ず「坑儒(儒者の生き埋め)」をもたらす、と言われる。
ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害においても、まずはユダヤ系知識人が書いた書籍の「焚書」に始まり、最終的には「絶滅収容所」にまでエスカレートした。
毛沢東時代の文化大革命も同様であり、「反革命」と見做された書籍の「焚書」に始まり、やがて数千万人単位に上る人民が「反革命分子」として殺害されるに至った。
因みに、文革時代の中国共産党は、儒教を反動的思想と見做していた為、儒教を排斥して国家を統一した秦の始皇帝を高く評価していた。
毛沢東原理主義者で文革礼賛者の習近平は、あたかも始皇帝や毛沢東の「歴史的偉業」を継承しようとしているかのようである。
10月に中国教育部が各地の小中学校図書館に図書の審査整理を通達した事は、現代版の「焚書」に相当する。
作家の章怡和氏は、「学校から始める全国範囲の『焚書』は、中国文化の運命に関わることであり、全国人民代表大会による可決が必須だ。こんなことを誰が批准したのか? 誰か署名したのか?」と中国のSNS上で抗議している。
また北京芸術センター長の栄剣氏は、「焚書が始まれば坑儒もそう遠くない。多くの良心的教授が教室から排斥されているのが目に入らないか」とネット上でコメントした。
現代版の「坑儒」は、すでに進行中である。
昨日のチベット・ウイグル、明日の本土
1937年にナチスによって強制収容所に拘束されたドイツのルター派牧師マルティン・ニーメラーは、終戦直後に次のようなコメントをした。
「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった。私は社会民主主義者ではなかったから。
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は労働組合員ではなかったから。
そして、彼らが私を攻撃したとき、私の為に声をあげる者は、誰一人残っていなかった」
このマルティン・ニーメラーの言葉は、現在の中国の情況に見事に当て嵌まる。
習近平政権による「焚書」通達は、新疆ウイグル自治区に対しては、すでに2017年に通達され実行されていた。
そして、2018年頃から新疆ウイグル族の100万人規模での強制収容が加速化したのである。
今回、焚書通達が中国全土に適用された事を考えれば、いよいよ14億人の全中国人民を対象にした本格的な迫害の実施が近いものと見てよい。
AI技術を駆使した国民監視システムは急速に整備されつつある。
現在の中国政府の国内治安維持の年間予算は、年間国防費を上回っているという。
中国政府にとっての敵は、米国よりも自国民のようである。
2015年7月には中国国内の人権弁護士300人以上が一斉に逮捕され(709事件)、2016年頃からは知識人や学者達への迫害や弾圧が強化された。
習近平は、「汚職役人追放」に続いて「知識人追放」を推進してきた。
習近平の内政は、まさに半世紀前の文化大革命の再現のようである。
毛沢東時代の文化大革命は、やかましくわめき散らしながら進行していたが、習近平の場合は、静かに粛々と進行しているという違いがあるだけである。
ここ約4年程度の間に、法律家、宗教家、学者等、知識や良心を持つ大量の知識人が習近平の迫害対象となり、職を逐われたり拘禁されたりした。
その結果、今や中国の一般国民の人権を守ってくれそうな人々は中国本土に存在しないのが現状である。
一般の中国国民にとって本当の地獄はこれからであろう。
「昨日のチベット・ウイグル、今日の香港、明日の中国本土」となる事が十分予想される。
我が国にとっても対岸の火事ではない事を肝に銘じるべきである。
当人権財団は、チベット、ウイグル、香港および中国本土において迫害を受けている人々や自由と人権を希求する全ての人々との連帯と支援を続けて参ります。
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《財団概要》
名称:
一般財団法人 人権財団
設立日:
2015年 9月28日
理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)
定款(PDFファイル)
《連絡先》
一般財団法人
人権財団本部
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-9-6
十全ビル 306号
TEL: 03-5501-3413
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