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FMラジオ番組
「まきの聖修の、出せ静岡の底力」













新型感染症がもたらす中国の超監視社会


中国全土の「収容所大陸」化へ


[2020.2.17]




都市封鎖された武漢市の検問所
(C)FEATURE CHINA



人災としての感染症拡大


 中国で猛威を振るっている新型コロナウイルス(COVID-19)は、中国国内の死者数が、17年前に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)を遥かに上回って拡大を続けている。

 感染拡大を公表した1月20日以降、中国政府当局は複数の大都市を事実上封鎖して5000万人以上を隔離する等の大掛かりな措置を取っているが、当局の対応を振り返れば、初動の不手際は明らかである。

 12月上旬に湖北省武漢市で原因不明の肺炎患者が相次いで報告された当初、当局は事実の隠蔽を図った。

 そればかりか、SNSで感染拡大に警鐘を鳴らそうとした李文亮医師を、武漢市公安局は「インターネット上で虚偽の内容を掲載した」として、2020年1月3日に訓戒処分を下し、露骨な揉み消し工作を行った。なお、ウイルスに感染した李文亮医師は2月6日夜9時30分に死去した。

 習近平国家主席が、感染拡大の阻止や社会の安定を守ることなどを求める「重要指示」を出したのは、ようやく1月20日になってからの事で、その頃には既に新型コロナウイルスが中国全土を席捲していた。

 武漢での感染被害拡大の惨状が12月上旬から1月半ばまで全く報道されなかった上、当該テーマがメディアやネットでの検閲対象にされていた事から、中国政府が意図的に情報操作をしていた事は明らかである。

 政府の国家衛生健康委員会は、すでに12月末に武漢市に専門家を派遣していたのだから、政府当局が事実を知らなかった事はあり得ない。

 李文亮医師の死は、習近平政権が重大な事実を隠し、国民の生命よりも党支配による社会秩序を優先した結果であり、多くの中国国民を激怒させることになった。

 1月31日、武漢市トップの馬国強・市党委員会書記が「もっと早く決定し、厳格な統制措置をとっていたなら、結果は今よりもましであっただろうし、全国的な影響も今より少なかっただろう」と中国メディアに語った。

 確かに、もし中国政府が12月の段階で情報隠蔽に走らず感染拡大を公表していたならば、感染症を早期に封じ込め得た可能性もあった。

 そう考えるならば、今回の新型コロナウイルスによる一連の惨状は、習近平政権が強化してきた秘密主義や排外主義に起因するものに他ならず、共産党支配という制度によって必然的にもたらされた人災と言える。

 また今回の事態は、習近平主席の統治能力の不足を証明しただけでなく、中国の国家としての在り方に対する根本的な疑問を中国国民に強く抱かせた事は間違いない。



都市封鎖から収容所大陸へ


 新型コロナウイルス対策として、現在は、北京市、上海市、天津市、重慶市の4つの直轄市と他の80の都市で、都市封鎖または外出・移動規制が実施されている。

 天津市は2月6日、重慶市は2月8日、北京市と上海市は2月10日に、市民の移動規制を実施した。

 住宅地の出入口には検問所が設置され、住民と自家用車は、証明書や許可書が無ければ出入りは許されない。また外出する際には、マスクの着用と検温が必要となる。

 さらに、他の地方からの来訪者や車両は、住宅地に入ってはならず、特別な事情がある場合には、来訪者は管理スタッフの指示に従って氏名や住所などを登録しなければならない。

 政治の中枢である北京をはじめ全国の主要都市で「封鎖措置」が行われた事実は、新型コロナウイルスの感染拡大が中国共産党政権にとって重大な政治危機である事を物語っている。

 感染拡大に最も危機感を抱いているのは、習近平をはじめとする中国共産党指導部である。

 彼等が真に恐れているのは、病原菌そのものよりもむしろ、民衆による反革命暴動である。

 昨年の香港のような事態が中国本土で展開される事を、共産党指導部は最も恐れている。

 中国政府当局が、武漢市のみならず複数の大都市を一気に封鎖して5000万人以上の国民を隔離する行動に出たのも、今後予想される巨大な民衆暴動に対する予防的措置と言える。

 都市の封鎖は情報の封鎖であり、住民の隔離は住民の「予防拘束」である。

「感染症対策」を大義名分として、今後は中国共産党による監視体制と人民統制がさらに強化され、中国全土の「収容所大陸」化は、これを契機に急速に推進されてゆくであろう。



中国に乗っ取られた国連とWHO


 今回のウイルス騒動で、緊急事態宣言を出し渋り続けていたWHOは、1月30日夜になってようやく緊急事態宣言を出すに至ったが、中国への渡航・交易の制限は否定した上に、中国の努力や能力を高く評価する始末である。

 現在WHO事務局長のテドロス氏はエチオピア人であり、2005年から2012年までエチオピアの保健大臣をしていたが、2012年から2016年までは外務大臣を務め、2017年からWHOの事務局長になった。

 このWHOのテドロス事務局長と習近平国家主席とは長年の交友関係がある。

 習近平政権成立以降、アフリカのエチオピアへの最大投資国は中国であり、中国とエチオピアとの蜜月ぶりはよく知られている。

 エチオピアは習近平の世界戦略「一帯一路」の要衝の一つであり、鉄道建設においては85%が中国の投資に依存するなど、中国の資本がエチオピアの国家運営を支えている。

 2017年、それまでWHO事務局長であった香港のマーガレット・チャン氏の後任選挙において、中国はエチオピアのテドロス氏の後押しに奔走し、その結果、2017年5月23日のWHO総会における選挙で勝利し、2017年7月1日にテドロス氏がWHO事務局長に就任した。

 チャイナ・マネーによって支えられているWHOは、中国の代弁者あるいは広報部と化しているのが現状である。

 かくしてWHOは、中国への最大限の忖度と配慮をした「緊急事態宣言」を出した事により、今や世界を危機に陥れつつあるのである。

 さらに、「緊急事態宣言」が出された同じ日、国連のグテーレス事務総長が、テドロスWHO事務局長とほぼ同じ言葉を用いて中国の今回の対応ぶりと努力を絶賛した。

 グテーレス国連事務総長はポルトガル人であるが、習近平とグテーレス氏は以前から緊密な関係にあり、2016年末で国連事務総長の任期が切れた潘基文氏に代わってグテーレス氏を次期事務総長にする為に活動したのも習近平政権であった。

 また中国は、国連やWHOに最も多額の資金提供をしている国でもある。

 国連やWHOが、人事のみならず、政策や方針までも中国に忖度するようになるのは、必然的帰結と言えよう。

 このように、地球の命運を左右する国際連合および人類の生存を左右するWHOとを実質的に支配し、いずれも中国の傀儡へと仕立て上げたのが、習近平国家主席なのである。

 図らずも今回のコロナウイルス騒動によって、国連やWHOの闇の実態が白日の下に晒され、世界中の人々の前に露呈される事となった。

 感染症対策においては様々な人道支援や多国間協力が必要であるが、中国政府および中国共産党に対する警戒を決して怠ってはならないだろう。










《財団概要》

名称:
一般財団法人 人権財団

設立日
2015年 9月28日

理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)




 定款(PDFファイル)




《連絡先

一般財団法人
人権財団本部
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