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「まきの聖修の、出せ静岡の底力」
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自由世界の同盟国の一員としての旗幟を鮮明に
媚中外交で日本の信用を失墜させた安倍政権
[2020.8.12]
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北京で習近平に「拝謁」し、安倍首相からの親書を手渡す自民党・二階幹事長 |
PHOTO(C)REUTERS |
歴史的なポンペオ演説
2020年7月23日、マイク・ポンペオ米国務長官は、カリフォルニア州のニクソン大統領記念図書館で「共産主義の中国と自由世界の未来」と題した演説を行った。このポンペオ演説は、2018年10月のペンス演説をさらに一歩進めた歴史的演説として位置付けられる。
演説においてポンペオ長官は、中国による知的財産権の侵害や、南シナ海における周辺諸国の領土・領海の侵害などを非難した上で、習近平の事を「破綻した全体主義イデオロギーの信奉者で、その野望は共産主義による世界覇権の確立である」と断じた。
さらにポンペオ長官は、同演説の中で27回も中国共産党を名指しして非難した上で、
「我々が今、屈従すれば我々の孫たちは中国共産党の為すがままにされる可能性がある」
「中国共産党から世界の自由を守ることは、我々の使命である」
「今こそ、自由主義諸国による新たな同盟を構築する時である。自由世界が変わらなければ、中国共産党が確実に我々を変えてしまう」
と、中国への対決姿勢を明らかにした。
この意味するところは、「日本を含めた中国近隣のアジア諸国も本気で変わらなければならない」という米国外交当局トップからの要請でもある。
尖閣諸島周辺での中国公船(=軍艦)による接続水域および領海への侵入は、今年4月中旬以来、110日以上にもわたり連続して繰り返された。
また、南シナ海の「九段線」内の中国による領有権の主張は、国際法上の根拠が皆無であった為、2016年にオランダ・ハーグでの国際仲裁裁判所において既に無効判決が下されたにも関わらず、中国政府はその判決を「紙屑」と称して無視し、ベトナムやフィリピン、マレーシア、インドネシアが各々領有権を主張する海域で行う漁業や資源探査を妨害し続けている。
さらに中国は、 南シナ海の岩礁に人工島を建設し、滑走路や港、レーダー施設等の軍事施設を整備するなど、南シナ海の完全聖域化を図っている。
中国が問題を起こしているのは海域ばかりではない。
6月15日夜にヒマラヤ山脈の国境付近で発生したインド軍と中国軍との衝突では、20人以上のインド兵が死亡した。中印国境紛争で死者が出るのは半世紀ぶりである。
しかも今回は偶発的な衝突ではなく、中国軍による計画的攻撃であった事が、衛星写真等により判明している。
こうした事態を受けて、現在インドでは反中デモや中国製品不買運動など、「反中国」の抗議運動が巻き起こっている。
一方、台湾は中国による軍事的併合目前の危機にある。
このように習近平体制の中国は、圧倒的軍事力を背景に国際法を無視し、一方的な現状変更を強行する覇権主義国家としての本性を剥き出しにしている。
今や中国の存在は、世界人類にとっての脅威以外の何物でもない。
トランプ政権の米国は、当初は自国第一主義の立場から、「世界の警察官」としての役割から降りようとしていたが、近年著しく増大する中国の脅威を目の当たりにして、今や積極的に「世界の警察官」に復帰しようとしている。
そして我が国にも、自由世界の一員としての旗幟を鮮明にする事が求められている。
国家総動員で総力戦を戦い抜く体制の中国
習近平は、党総書記および中央軍事委員会委員長に就任した2012年以降、人民解放軍の統合作戦能力を強化する為、地方に分散していた軍の全ての権力を中央軍事委員会に集中させる改革を断行した。その為に習近平は、総参謀部などから権限を取り上げ、平時体制の全国「七大軍区」を廃止して、自らが直接指揮する戦時体制の「五大戦区」を創設した。
さらに、準軍事組織である人民武装警察を中央軍事委員会の指揮下に置き、非軍事組織の中国国家海洋局の下部組織であった中国海警局を人民武装警察の下部組織に組み替えた。
従って、香港において民主派を弾圧した武装警察も、習近平が統帥する中国人民解放軍であり、また尖閣諸島周辺海域に侵入している「中国公船」も中国人民解放軍なのである。
習近平体制下、中国は南シナ海を完全要塞化するだけでなく、他国の空域を一方的に中国の防空識別圏に指定した。
また中国軍は、多弾頭核搭載のICBMや中短距離ミサイルや極超音速滑空兵器を大量配備し、中国版GPSである北斗衛星測位システムを使い、動く標的を直撃する対艦弾道ミサイルの射程や命中精度を向上させ、サイバー戦や宇宙戦などの能力で米国を凌駕するまでに至った。
さらに中国海軍は空母や原潜を建造し、海軍力でも日本を上回る体制を構築するなど、西太平洋の制海権獲得に向けて着実に歩を進めている。
中国が強化しているのは軍備だけではない。
現在、中国が技術で世界をリードする商用5G戦略や人工知能(AI)やロボット開発も、将来の総力戦に向けたインフラ整備に他ならない。
「党が全てを決定する」中国においては、「民生用」と「軍事用」の境界線は存在せず、両者は完全一体の関係にある。
中国では、経済や産業の技術や成果は全て軍事と融合し、統治権と統帥権を併せ持つ習近平の命令一下、総力戦の遂行が可能な国家総動員体制が構築されつつある。
習近平の唱える「中華民族の偉大な復興」「中国夢」「人類運命共同体」は、最早単なるポピュリズム的スローガンではなく、すでに現実のプログラムなのである。
毛沢東を崇拝してやまない習近平は、中国共産党の結党100周年にあたる2021年までに、何らかの目に見える成果を上げたいはずである。
それが「台湾併合」であると推測する専門家は多い。
台湾併合こそ、毛沢東がやり残した最大の課題でもあり、毛沢東を目標としている習近平にとっては絶対に外せない最重要案件なのである。
媚中外交で国際的信用を失った日本
ポンペオ演説と前後して、米政府の主要閣僚が、相次いで中国を厳しく非難する演説を行い、中国への対決姿勢を鮮明にしている。
ポンペオ演説より約1カ月前の6月24日、ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、過去数十年間にわたる米国の対中「関与政策」は全て裏目に出て、「1930年代以降の米国の外交政策で最大の失敗」だったと断じ、「中国に対して米国が受動的で未熟であった時代は終わった」と言明した。
7月7日には、クリストファー・レイ米連邦捜査局(FBI)長官が、「中国は、如何なる方法を使ってでも世界唯一の超大国になろうと国家的な取組みを進めている」と述べ、中国政府によるスパイ活動と盗用行為が、アメリカにとっての「最大の長期的脅威」になっている事を強調した。
7月16日、ウィリアム・バー司法長官は、ハリウッド(ディズニー等)や米テクノロジー企業(グーグル、ヤフー、マイクロソフト、アップル等)に対し、中国で事業を展開する為に中国政府と「連携している」として非難し、そのような行為は「リベラルな世界秩序」を損なう恐れがあると警告した。
7月13日、米国務省は声明を発表し、2016年に南シナ海問題についてオランダ・ハーグの国際仲裁裁判所が示した判断を支持し、「南シナ海の大半にわたる海洋資源に対する中国政府の主張は、完全に違法である」と断じた上で、「世界は中国政府が南シナ海を自らの海洋帝国として扱うことを許さない」と警告を発した。
米国は、「自由で開かれたインド太平洋」戦略に基づき、アジア全域に米軍を配置し、軍事面でも対中戦略を強化している。
米海軍は、南シナ海において過去40年で最多となる「航行の自由」作戦を実施し、この7月には空母2隻による軍事演習を実施した。
この軍事演習についてマーク・エスパー米国防長官は、7月21日の声明において、
「これは、地域諸国の平和的存続・繁栄が可能な自由で開かれたインド太平洋を守る為のものである。また中国に、公海を排他的水域や自国の海洋帝国に変える権利が無いことを知らしめるものである」と語った。
さらに7月29日、在日米軍のケビン・シュナイダー司令官は、尖閣諸島周辺における中国公船による「前例のない侵入」の監視を、米軍が支援することが可能との見解を示した。
このように米国は、台湾は言うまでもなく、南シナ海も尖閣諸島も中国から防衛する意志を明確に示すようになったのである。
しかしながら米国によるこうした干渉は、中国にとっては「核心的利益」を侵されるに等しく、決して退く事が許されない事態である。
相次ぐ米政府閣僚による対中強硬発言は、米中衝突が最早不可避である事を示唆している。
そうした中にあっても、未だに日本政府は対中関係において、「政経分離」の虚構にしがみついている。
かつてアベノミクスによる好景気によって高い内閣支持率を維持してきた安倍政権は、コロナ禍の最中にあっても、「景気の後退だけは回避したい」と、「GOTOキャンペーン」などの小手先の弥縫策でお茶を濁しているが、対中政策についても「政経分離」を掲げて曖昧な対応に終始し、今や米国をはじめ自由主義諸国から不信感を抱かれつつある有様である。
そもそも「党が全てを決定する」中国においては、常に「政経不可分」の原則が貫徹されており、「政経分離」はあくまで日本政府が自分勝手に描いた虚妄に過ぎない。
「政経分離」の喧伝者は、いずれも「一帯一路」への協力を申し出る親中派政治家や、「チャイナスクール」と呼ばれる親中派外務官僚、および中国市場への依存度が高い経団連などの経済団体である。
彼等は結果的に中国共産党のお先棒を担ぎ、我が国の国際的信用を毀損するのみならず、チベット・ウイグルなどの少数民族虐殺や香港民主派弾圧に間接的に加担している事になる。
これらの親中派によって日本政府が支配された結果、安倍首相が「日中関係は完全に正常軌道に戻った」と発言したり、習近平国家主席の国賓来日を求めるなどの「奇行」がもたらされたのである。
7月23日、米ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所は、「日本における中国の影響力」と題する調査報告書を発表し、その中で自民党の二階俊博幹事長や安倍政権の今井尚哉首相補佐官の実名を挙げて、日本の媚中政策を厳しく批判した。
ホワイトハウスに絶大な影響力を持つシンクタンクから名指しで「日本政府の媚中派幹部を何とかしろ」と警告されるくらいであるから、このままでは日米関係すら危うい状態である。
米トランプ政権の目には、安倍政権も文在寅政権と同様の親中派と映じているであろう。
覇権主義大国中国に対して媚びを売り、対中拝跪外交を続け、亡国への道を驀進している安倍政権には、早々に退陣してもらう以外にない。
歴史上、外交戦略を誤った国家は、必ず滅亡するか衰退してきた。
未曾有の歴史的危機の時代、日本国の存立こそが最重要課題である。
今こそ我が国は、「人類共通の敵」である中国共産党と全面対峙し、自由世界の同盟国の一員としての役割を果たすべき時である。
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《財団概要》
名称:
一般財団法人 人権財団
設立日:
2015年 9月28日
理事長:
牧野 聖修
(まきの せいしゅう)
定款(PDFファイル)
《連絡先》
一般財団法人
人権財団本部
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-9-6
十全ビル 306号
TEL: 03-5501-3413
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